二宮ひかる『ハネムーン・サラダ』 〜 Honeymoon Salada 〜![]() 『ナイーヴ』と人気を二分する人気作である『ハネムーン・サラダ』は二宮作品としては唯一ヒロインが二人存在する作品だ(正確にはヒロイン級の女性キャラクターが二人登場すると言ったほうが正しいと主宰者は思っている)。斉藤遥子と斉藤一花。二人の斉藤と言う名字をもった女性と主人公の夏川実の物語は結局突き詰めていけば一花をクッション剤にした実と遥子の物語だったと今は思っている。この物語が終わったとき、あまりにとっぴな終わり方をしたが為にどうこの作品をひも解けばいいのか解らなかったし、第五巻の終わりに二宮ひかる先生が付けた三種類のマルチエンディングや、後書きに「粗品ですので、と言うのをやめた」と言う発言があったのも同じように気になった。結局その意味がおぼろげながら解ったのは少年画報社から『ベイビー・リーフ』が発売されてからのことだった。とどのつまり、斉藤遥子と斉藤一花は全く別個に創案されたキャラクターであって、一つの物語に投入されるキャラクターでは無かったのではないか、と言うことと、遥子が一冊のコミックスを書き上げられるだけの掘り下げがあるのに対して、一花はコミックス未収録の『ごめんなさい』を含めても短編二編である事を比べれば、当初『ハネムーン・サラダ』のシノプシス(粗筋)は実と遥子の二人の物語として創案されたのではないか、と言うことが比較的容易に想像できる。
この物語が成功だったのか失敗だったのか、議論するのは容易ではない。『ハネムーン・サラダ』には非常に多くのファンが付いていることから上述の通り人気作であることは間違いなく、「売れるものがいいもの」と言う考え方からすれば確かに成功だったと思うのだが、二宮ひかる先生のメッセージは相当そのテイストが薄められてしまった、と言うのが主宰者の見方である。勿論二宮ひかる作品をここまで売れるものにした編集サイドの手腕は評価に値すると思うが、この後発売された『復讐のように』『犬姫様』とまるで二宮ひかる先生が自分の原点を探し求めるように実験的な作品を発表したり、当初「絶対にコミックスに収録しない」と二宮ひかる先生ご本人が明言していた幻の初期作品『犬姫様』が連載として発表、コミックスを発売されるに至っては、『ハネムーン・サラダ』を描くことで二宮ひかる先生が相当消耗してしまったのではないかと勘ぐりたくなってくる。 『犬姫様』執筆後1年の沈黙を破ってこの度『オトシゴロ』で復活された二宮ひかる先生がまた元気に執筆活動をされることを願ってやまない。
〜 Honeymoon Salada 〜 白泉社 ジェッツコミックス ISBN4-592-13418-4 ISBN4-592-13419-2 ISBN4-592-13420-6 ISBN4-592-13421-7 ISBN4-592-13422-2 2000年4月5日 〜 2002年4月5日初版発行 Copyright(C) Hikaru Ninomiya 2000 〜 2002 『ハネムーン・サラダ』第一巻、第二巻 『ハネムーン・サラダ』第三巻、第四巻 『ハネムーンサラダ』第五巻
コミックス『ハネムーンサラダ』の書影は白泉社様のご好意で掲載させて頂いています。白泉社様に深く感謝いたします。
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