天門『雲のむこう、約束の場所』O.S.T. First Impression


レビューするべきか、それともせざるべきか。本当に悩んだんですが…。

天門さんの最新作『雲のむこう、約束の場所』O.S.T. が発売されてから随分と時間が経っている。実は主宰者は多分初めて、この『雲のむこう、約束の場所』の音楽を映像と分離してレビューする事に大いに躊躇った。理由は作品をご覧になった方には十二分に理解戴ける事と思う。昨今、日本のアニメーションの O.S.T. は非常にレベルが上がりつつあるのだが、その一方で音楽の自己主張が非常に強くなる傾向があり、音楽と映像が容易に分離してレビュー出来たのだが、今回の天門さんの美しいメロディー、素晴らしいオーケストレーションでありながら、映像との見事な一体化を果たしており、何度レビューを書こうとしても音楽のレビューを書いているのか『雲のむこう、約束の場所』と言う映像作品のレビューを書いているのか判らなくなり、キーボードを打つ手が止まってしまうと言う現象に悩まされた。それを敢えて今回書こうとしている事から、映像との関係を考えながらのレビューとなる事をお許し戴きたい。
今回の O.S.T は作品のパイロット映像が公開された当時にメールで戴いた通り、パイロット版『雲のむこう、約束の場所』のテーマが随所に使用され、パイロット版を見て心躍らせたファンを喜ばせた事と思う。やはりもっとも重要な位置を占めたのはパイロット版の冒頭で使用されたバイオリンのメロディー、本 O.S.T では『メインテーマ』と言う題名で収録されたメロディーである。ヴェラシーラ完成の際、タクヤが「ヒロキ、おまえ、もしかしてヴァイオリン弾けるのか?」と問われてからかわれながらヒロキが弾いたこのメロディーに劇場で涙したファンは非常に多かった事と思う。そしてパイロット版で2番目に現れたテーマも随所で使用される。カズキが、サユリが孤独にさいなまれるシーン、そしてヴェラシーラが飛び立つシーンで使用された『開戦〜ヴェラシーラ』でもこのテーマが使用され、カズキとヒロキがふたりで約束を守ろうとするシーンの緊迫感を大いに盛り上げるのにも一役買っている。そして約束の場所にたどり着いた二人の祈るような気持ちを盛り上げた『雲のむこう、約束の場所』も同じテーマの編曲版と思われる。9月公開が正式に決定した後で挿入が決まったと言う主題歌『きみのこえ』が唯一今回の天門さんの音楽の中で輝く主張を放った曲と言えるだろう。勿論この曲のテーマも随所に使用されている事はお気付きの事と思う。
今回の天門さんの O.S.T. は恐らく賛否両論ある事と思う。これまでの様に音楽の自己主張が世界観を引き立てる様な音楽を期待した方々には物足りない物があったかも知れない。だが主宰者はその「映像演出に徹した」新しいタイプの O.S.T. としてこのアルバムを非常に高く評価したい。勿論 O.S.T. 単体でも十二分に楽しむ事の出来る出来栄えである。今後の天門さんの活躍に期待が高まる一枚と言って良い。また、パイロット版の音楽が収録された事は主宰者にとっては二重の喜びとなった。何故ならこの曲こそが主宰者を天門ファンならしめたのだから。

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Posted: 金 - 3月 4, 2005 at 12:52 午前