『蒼穹のファフナー RIGHT of LEFT』


「僕たちは常に…、誰かが勝ち取った平和をゆずってもらっているんだ。たとえそれが一日限りの平和だったとしても…、僕は…その価値に感謝する」

まだ本編のレビューも終わっていない内に正月の特別番組として『蒼穹のファフナー』の番外編『RIGHT of LEFT』が放映された。本編が好評だった事もあると思うが、非常に力の入った力作で冲方丁先生の脚本も非常に素晴らしい出来栄えとなっている。描かれたのは竜宮島の存在をフェストゥムに悟られない為に実行された L 計画と呼ばれる作戦だ。
正直な事を言うと、良く言えばお涙頂戴の王道、悪く言えば反則技だらけ(決してけなしている訳ではなく、その効果をしり尽くしているが故に使ったと言えるのだが)の作品だったと思う。映画等でお涙頂戴と行きたいなら「動物」「子供」「お年寄り」の三つが三種の神器と言われており、義務教育も終わらないままに L 計画で実践投入された子供たちが次々に犠牲になっていく姿に加え、今回主人公扱いとなった少年の愛犬フクがこの物語を嫌が上でも盛り上げたと思う。邪魔になるまいとわざと毒入りのえさを食べようとしたり、最後に回収されたファフナー・ティターンモデルのコックピットブロックに乗っていた自分の飼い主に気がつき、探し、遠吠えを上げ、最後に自らの死によって飼い主の下へと行ったフクはまるで(例えは悪いが)忠犬ハチ公を思い起こさせる。ジークフリードシステムを内蔵し、ノートゥングモデルよりも遥かにパイロットへの負担の大きなティターンモデル。10分〜15分しか連続搭乗出来ないそのシステム故にノートゥングモデルではソウシが乗り込むジークフリードシステムが分離された事や、本編では登場しなかったマーク・アイン(1号機)がソウシ、マーク・ツバイ(2号機)がクラマエの機体だった事など、様々な伏線が明かされる内容となっている。そして、主人公のリョウ、ユミがお互いの気持ちを確かめあったクライマックスも見事だ。

「僕たちは常に…、誰かが勝ち取った平和をゆずってもらっているんだ。たとえそれが一日限りの平和だったとしても…、僕は…その価値に感謝する」

日本の現在の平和も大戦で亡くなった累々たる犠牲者の上に成り立っている事はソウシの言葉通り間違いの無い事実だ。我々はこの言葉を充分に噛みしめ理解する必要があると思う(ただ日本政府の靖国参拝に関する見解は何処から聞いても主宰者は気に入らない。日本ほど宗教に関して無関心且つ無感覚な国は世界でも珍しいと思う。社を立てて祭ると言う事はそれを神としてあがめる事で、キリスト教で言えばイエス・キリスト、イスラム教で言えばアラーと同じ扱いと外国からは見える事は間違いなく、その扱いには細心の注意が必要な事を日本政府は早く気がつくべきだ)。そしてこの物語で描かれた L 計画を経て作品は本編に至る事になる。これから『蒼穹のファフナー』をご覧になる方はこの『RIGT of LEFT』を先にご覧になった方が色々な事が解って良いかも知れないが、個人的には本編をご覧になる事をお勧めする。

*本作品の DVD は近日中に発売の予定のようです。発売の予定が解り掲載いたします。

Posted: 土 - 1月 7, 2006 at 07:37 午後