シギサワカヤ『九月病』序章
「あたしの願いを叶えてくれても、彼を幸せにできない神ならいなくていい、と思う」
主宰者が子供の時分にちょっとしたいたずらに加担した事がある。悪友2人と3人でやったことだが、主宰者だけが取っ捕まって悪友2人はなんのお咎めもなく、主宰者だけが「悪い子」になった。まだ小学生の時分だ。良くある話とは言え、このご近所での「悪い子」と言う汚名は父が転勤するまでついて回った。小学生には酷な話だ。シギサワカヤ先生の『九月病』序章『いけない子』のレビューをお送りする。『九月病』と言う言葉は辞書で引いてみたが取敢ず掲載されておらず『五月病』から取った造語ではないかと思われるのだが、何か重たい雰囲気を持っているのは間違いないと思う。
この作品の主人公は兄が大好きで子供の時分に罪を犯して「悪い子」のレッテルを貼られてしまった妹と、結婚式の1週間前に花嫁に逃げられた兄の二人である。二人は傷をなめあうように寄り添い、一緒暮らしている。いつの間にか近所では夫婦と言う事になっているらしい。妹の真鶴は別れた夫に似たと彼女を責め続けた「母が死んだ16の冬」彼女は「兄と寝た。したかったからだ」。第一話は時系列が判然としない部分があるが彼女の兄、広志が花嫁に逃げられて妹の真鶴に泣き付いた時が二人が初めて関係した時ではないかと思う。「俺に抱かれてみろよ!?出来ねぇだろう!?」多分やけくそになった広志に真鶴が応える「…できるよ」…と。
真鶴は結婚生活の為にムリをして借りたアパート生活の家計を助けるべくバイトをしたりしているが、あまり上手くいってはいないようだ。その為か援助交際にまで手を染めている。それは「善い事」を具現化したような神様に喧嘩を売っているようにも見える。兄の腕の中でさえ彼女は思う。
「あたしの願いを叶えてくれても、彼を幸せにできない神ならいなくていい、と思う」
重い言葉と願いが彼女を更に縛りつけている気がしてならない。
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シギサワカヤ
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上記同人誌書影はシギサワカヤ先生のご厚意によって掲載させて頂きました。深く感謝いたします。
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Posted: 木 - 7月 21, 2005 at 05:59 午後