二宮ひかる『ひまわり』
「な?そーゆーふうに…みえないこともないだろ?」
古今東西男女を問わず「
恋をしている時」と言うのはその相手が特別に見えるものだ。「あばたもえくぼ」と言うのは皆さん良くご存知と思うがヨーロッパでは「インクのシミもビーナスに見える」と言うらしい。それぐらい意識している異性が居る時には幸せだし、相手の欠点なんて見えないものだが、「えくぼ」が実は「あばただった」と気がついてもその縁が切れないかどうかと言うのが結構難しいと思う。二宮ひかる先生の『ひまわり』のレビューをお送りする。今回から
『オトコとオンナの二宮ひかる』
と企画も変わった事だし少し男性よりの意見で書いてみたいと思うのだが、果たしてできるだろうか(笑)。
この作品の主要人物は三人。主人公の少年広田重則と彼の女友達である春日友江、そして広田が気にかけている少女、志木礼美である。志木には不名誉な噂が立っていた。「援助交際」。主宰者が高校生の時分は「援助交際」と言う言葉自体無かった気がするし、何よりそんな噂を気にする暇も無く部活に没頭していたので気にした事も無いが、この噂は多分にやっかみと興味本位の感情が入っていて男子生徒と女子生徒、どちらが出所かはっきりしないのだが、雰囲気としては美人で男子生徒に人気のある志木に対するやっかみ半分で一部女子生徒が流した噂に男子生徒が尾ひれ背びれをつけた、と言う感じがする。広田は事の真偽を友江に確かめようとしたのだが「くっだらない」と言う言葉と共にこんな言葉にぶつかるのだ。
「(志木も)機会があれば…やりたい事をやりたいようにやるよ」
その言葉がきっかけとなって二人はホテルにご同行となるのだが、友江には子供の時分に負った大きな傷が脇腹に有り、それが彼女のコンプレックスとなっていたらしい。プリントを届ける為に彼女の家が経営するひまわり畑を訪れた広田に知恵は言うのだ。「こんな私でもセックスできるだぞォーって」「ザマーミロ」
後日広田は志木と一緒に帰るというチャンスに恵まれるのだが、正に友江が言ったように彼女も普通の女の子で、しかも友江と親しいらしい広田に友江が「売春までやってるって噂」とまで言ってのける。その時の表情は冷たく、ライバルをけ落とす意思丸出しの鋭いもので、事の真偽を知っている広田にとっては正に「えくぼがあばただった事に気がついた」瞬間だったと思う。けれど大学には進まない、ひまわりに囲まれて一生を過ごすと言う友江と脇腹の傷をヒマワリに例えた広田にこれから先の未来は無いと思う。だが「ひまわりに囲まれて一生を過ごす」と言うのは確かにいい人生に思えて、多分二人にとっては忘れられない青春の1ページになるのだろうと思える。
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Posted: 月 - 7月 25, 2005 at 11:07 午前