宮野ともちか『肌色ソーダ水』


「ったく、何考えてんだか」

先日宮野ともちか先生の『ゆびさきミルクティー』第44話をレビューしていたら何となく宮野ともちか先生の初期短編作品を思い出して久しぶりに一巻を引っ張り出してみた。昔のレビューは残念ながら先日のメインマシンのトラブル騒ぎで無くなってしまったけれど、初版の『ゆびさきミルクティー』第1巻の表紙、背表紙には「1」の巻数が印刷されておらず「何れプレミアがつくかも」と書いた覚えがある。宮野ともちか先生の『肌色ソーダ水』のレビューをお送りする。ご存知通りこの作品は宮野ともちか先生のデビュー作で第1巻に掲載されている作品である。掲載された当時はまだ二宮ひかる先生が YA で活躍中の時代で今ほど注目されなかったかもしれないが、面白い人が出てきたという印象を持ったものだ。
第44 話で水泳の練習をしていたのは水面だが、『肌色ソーダ水』で水泳の練習をしているのは主人公の少年である。カナヅチのこの少年は肌が弱い事にして授業の水泳は見学し、格好悪いと一人で練習していたのをクラスメイトの少女に発見されるというエピソード。水面と同じように眼鏡をかけた少女だが、水面とは正反対に少々つり目気味の少女で、「ツリ目にメガネでツリメガネ」と言うあだ名を持っている。見た所表情こそきつそうだが洒落も通じるし頭も良くスポーツは万能、きつい顔なのが幸いして主人公の少年以外の注目度はあまり高くない。足がつっておぼれそうになった主人公を飛び込んで助けたりと行動力もあり、現在の度胸の無い男性が多い中注目されてもおかしくない気がする。
主宰者の父親が母親に「自分だけに美人に見える女性がいないかのう〜」(主宰者の両親は高校時代からの付き合いで、父親が広島から関東に就職すると、母親も関東で職を見つけて追いかけたというどっかのラブロマンスのようなエピソードを持っている)と付き合っている時分に言ったそうだが、主人公の少年にとって彼女の注目度が低いのは嬉しい事だっただろう(但しこれは男性だけの感情らしく、女性は自分の好きな人はもてないと嫌らしい)後半主人公の少年につき合って水着が無いのに下着にTシャツで泳ぎ、結局下着無しで帰るというエピソードはやっぱり『ゆびさきミルクティー』の第45話 との共通点を感じるのだが、それを指摘した主人公の少年をどついた後、

「ったく、何考えてんだか」

とあっけらかんと笑う彼女は中々に魅力的である。暫く第1巻を読んでいらっしゃらない方には新鮮かもしれない。

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宮野ともちか『ゆびさきミルクティー』第1巻 白泉社ジェッツコミックス

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Posted: 木 - 7月 28, 2005 at 01:57 午後