シギサワカヤ『九月病』第3話


「ただあの子を幸せにしたいんです。その気持ちしか…もう誇るものがないんです」

自分の下から親しい人が去って行ったり、嫌な事があったり、体調を崩したり、所謂「泣きっ面に蜂」と言うような時というのは確かにあって、そういう時はじたばた頑張ってみた後に何をしても無駄な事に気がつき、そして苦痛に耐えながら何もしないで流されて行くのが一番という事に気がついたりするものだ。シギサワカヤ先生の『九月病』第3話のレビューをお送りする。
この第3話は単独で読んでいると起こっているイベントが多くて結構混乱してくる。本当なら気にせずその後に続く3.5話を読んでしまえば「ああ…、何だ」となるのかもしれないが、個人的な好みだからしょうがない(苦笑)。簡単に整理してみる。北海道にお産のために帰ってきたかつての婚約者、彼女との再会とそのダメージ。姿を消した真鶴、前回の最後に「…生理、来ないなあ…。」とつぶやいている事から、その事が関係しているのではないかという事は容易に想像できる。そしてその事によって壊れて行く広志。真鶴に精神的には頼り、そして彼女だけが心のよりどころとなっていながら理性の声が叫ぶ。

「頼むから遠くへ逃げてくれ…頼む」

気力が充実している時というのは体調が多少悪くても頑張れるものだが、気力が持たなくなった時、体調の崩れに身体はついてこれなくなる。倒れ、熱を出して早退する広志はたった一人になった家で思い出したくない事ばかりを思い出す。罪滅ぼしのように真鶴に出来る全ての事をしてやるつもりだった事も。
熱が下がり会社に戻った広志は海老沢の家に転がり込む事になる。「ただの馬鹿だと思いますよ」と多少きつい眼差しで海老沢が見守る中彼は仕事に没頭している自分を演出しながら、それでも頭の中を一つの言葉が回り続けていた。

「ただあの子を幸せにしたいんです。その気持ちしか…もう誇るものがないんです」

本当に彼は何処へ行くのだろう。海老沢は本当に自分の身体に火を放って彼を助ける事が出来るのだろうか。

Previous | Next

シギサワカヤ 『九月病』のご購入は下記 Link からどうぞ !!



『九月病』シリーズは『虎の穴 』、『メロンブックス 』、『コミティア 』で扱っています。

上記同人誌書影はシギサワカヤ先生のご厚意によって掲載させて頂きました。深く感謝いたします。

『九月病』は在庫希少となっております。ご購入はお早めにどうぞ。

Posted: 金 - 7月 29, 2005 at 12:19 午後