"恋"と"好意"と 〜二宮ひかる『初恋』前編〜


「…次は扇風機だな…」

この企画(『オトコとオンナの二宮ひかる』)で最初に取り上げた『ひまわり』で広田は志木に対して「恋をしていたか、それとも憧れか」と言う事が話題となった。この辺の議論は非常に面白くて男性向けの恋愛作品と女性向けの恋愛作品ではっきり傾向が別れるのだが、この話題は後日に譲りたいと思う。先に書いておこうと思うのは二宮ひかる先生が扱っているコミックス『初恋』のテーマで「ココロとカラダの両方でする」ものと言う定義をしているから二宮ひかる先生が描こうとしているテーマを拾い上げると言う意味では後から考えてみれば関係を持った後の心理を取り上げる方が適当で、そういう意味では前編は前振りと考える事も出来るかもしれない
上述の記述と多少矛盾するが、自分が恋に落ちる瞬間と言うのを自覚した経験のある人と言うのはどの位居るだろう。嫁さんには既にばらして有るので書いてしまうが主宰者は明確に「自分が恋に落ちる瞬間」と言うのを意識した事が有る。その恋は結局実らなかったけれど、その相手が自分の意識の中に入ってくる瞬間と言うのはまるで「永遠の一瞬」の様に感じたものだ。

「…なぁ、あの女の人、昼間からずっとあそこに居ないか?」

実は主人公の少年はこの瞬間に既に精神的には「恋に落ちて」いると思う。この女性が「異性として」意識の中に入ってきているからだ。主人公の少年が気がついてからずっと気にかけていただろうこの女性はやがて少年がバイトをしている店にやってきて上手い事(?)店長を丸め込み、バイトとして雇ってもらった上にアパートの保証人のハンコまでせしめている。中々にしたたかだ。しかしその辺りのしたたかさとはまるで正反対に仕事の方の要領は極めて悪く覚えも悪い。「にじゅうとむっちゅー」と自分の年齢を答えられた少年は「9歳も年上…」と思いながらも「とてもそうは見えない」と付け加える。ヒロインの女性が天然なのか計画的なのか、一応ヒロイン扱いだから前者と言うことにして、結局主人公の少年も意識した女性のリクエストとあって結局巻き込まれて買い物に付き合い、寝具までかついで彼女の部屋まで行く事になる。

今晩すぐに使うものでしょう?

そんな言葉に更にほだされたのか彼女の言葉通り何もない部屋で二人は肉体関係を持つにいたり、ここに主人公の少年は(二宮ひかる先生が定義した)「初恋」をする事になる。実は主宰者は嫁さん以外の女性とは付き合った事が無いし、26歳の頃、同い年の嫁さんとは疎遠だった事からその年ごろの女性の魅力を実感した事は誠に残念ながら無い。ただ「お肌の曲がり角」だのなんだの言われる年ごろであると言う事は逆に肉体的には絶頂期と言うことも出来るし、二宮ひかる先生の描くヒロインは「毒はあるかもしれないが悪意は無い」女性ばかりで少年の心と身体を捕らえるには十分だったのではないかと思う。

「…次は扇風機だな…」

少年はこの時既に彼女の部屋に居座る事を決めているように思える。

関連記事(1) : http://naive.seesaa.net/article/5520776.html
関連記事(2) : http://naive.seesaa.net/article/5362350.html

Previous | Next

Amazon.co.jp からの書籍のご購入は下記 Link からどうぞ !!



二宮ひかる『初恋』 白泉社ジェッツコミックス

コミックス 『初恋』の書影画像は白泉社様のご厚意で掲載させて頂いています。

Posted: 火 - 8月 2, 2005 at 01:59 午後