小野塚カホリ『花粉航海』後編


「いい男になったねえ」

思春期、と言うがどの位の年齢を指すのかは微妙だが、色々な意味で低年齢化しているのは確かだと思う。少なくとも主宰者が思春期と言われて思い浮かべるのは中学〜高校位だが、もしかしたら現在は小学校高学年も入るかもしれない。反対に大人になりきれない大人も多くてそういう意味では小学校高学年ぐらいから20代まで思春期と言えるのではないかと思ったりする。小野塚カホリ先生の『花粉航海』後編のレビューをお送りする。

「こうして一人の男の子を自由にできる」

少女が支配欲に酔っている中、少年は精神的に変調を来していた。成績は下降線を辿り、訳を聞こうと女性教員が少年の手を触ろうとすると反射的に逃げてしまう。勿論同じ年ごろの友人達に相談する事さえ出来ない。

「…けいちゃん(少女の名前)が裸で追いかけてくる」

家庭教師と言う名目の元、かぎっ子と言う少年の立場を利用して続く有る意味異常な情事。少女のからだと自分のからだの反応に明らかに少年は恐怖している。そんな時、少年にクラスメイトの少女が接近してくる。卒業アルバムの作成を一緒にする事になったからだが、将来は本の編集やデザインをしたいという少女との会話、そして関係は明らかに(その定義は難しいが)普通の小学生の少年と少女の会話で、その関係が少年とヒロインの少女との関係の異常さを際立たせる。そんな中で少年の疲れはピークに達し、学校の給食に当たって早退してくる事になる。付き添ってきたクラスメイトの少女が少年を気にしているのを見てヒロインの少女は彼女を自分と同列の"女"として扱った事から少年は少女を拒絶する。
少年にとってヒロインの少女との関係がどういう意味を持ったのかはこの作品から読み取る事は難しい。ただ、少年の小学校の卒業式でヒロインの少女に「えっちなからだしてる、他の男とかにさ、そう言われたことない?」と問う少年に少女はこう言って少年を送り出す。

「いい男になったねえ」

その言葉こそが実は少女が今回の行動を起こした原因とも言える言葉だし、その事が心のしこりとなっているのは前編を見る限り明らかだ。それを見抜いた少年が精神的に一時的には不安定になったとしても成長した事もまた明らかで、この一言で少年がこの異常な関係から立ち直り、そして少女もまた成長したのだと思える。

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小野塚カホリ『花粉航海』 宝島社ワンダーランド・コミックス

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Posted: 木 - 8月 11, 2005 at 09:06 午後