奥友志津子『世界は日の出をまっている』


「あんたを嫁さんにした男は果報もんだ」

これもなんだか何回も書いた事のような気がする事であるが男と言うのは「夢を食って生きる」生き物である。夢を語る時、夢を実践している時の男と言うのはそりゃー他のどんな時よりも魅力的に見える。奥友志津子先生の『哀しみのヒロイン』から『世界は日の出をまっている』のレビューをお送りする。今回は『わたしたちの賛歌』で登場したサラが主人公のエピソードだ。
サラは外国人とのハーフで明るく屈託が無い上に中々の美人である。当然のように良くもてる。自分でも自分のどう言った部分が男性に受けるか良く心得ていて、男性に自分の魅力をアピールする事を常に忘れない。そんなサラの秋波が全く通用しない男性が現れる。秋山悠太郎。周りから見れば考古学専攻の変人であるが、サラとしては自信のある自分の魅力が通用しないのが面白くない。大体人間追いかければ逃げるし、逃げられれば追いかけるのが常だがこの悠太郎君、全く持って難攻不落である。サラがウィンクして見せれば「そんだけ目がでっかけりゃゴミもはいりやすかろう」、折角サラが研究室を訪ねてみれば「実にいい」と容姿をほめたかと思いきや

「君が死んだら実に見事な骨格標本が作れるな!」

サラにとっては全くもって理解できない悠太郎君だが、考古学を語らせたらその時のだけは素晴らしい美男子(に描かれている(笑い))に見えるから不思議だ。ある日サラが道路工事現場のわきを通りかかった時に足に土をかけられるのだが、やったのは実は悠太郎君で、彼がタンザニアの発掘調査に参加する為にバイトにいそしんでいたところをサラが通りかかったのだが、悠太郎君は土を掛けた詫びにと自分のお弁当であるおにぎりをベンチに広げてくってくれと言う。「考古学ってそんなにおもしろいの?」と問うサラに「考古学はロマンさ」と答える悠太郎君。確かに彼は狭苦しい日本よりも限りなく続く雄大な大地の方が似合っている。(しかし)考古学は金にならないと言う悠太郎君にサラは女でも惚れた男を養う事ぐらいできると啖呵を切って見せる。

「あんたを嫁さんにした男は果報もんだ」

それは多分これまでサラが聞いたどんな褒め言葉とも違って魅力的な口説き文句に聞こえた事だろう。かくしてサラは恋に落ち猛烈なアタックを開始するのだが、結局はすでに唾が付いてた、と言うオチで、悠太郎君は彼女を連れてタンザニアに旅立つのだが、発掘現場で「君にそっくりの凄い美女を発掘した」と骸骨を持った写真をサラに送ってきて、最後までサラを楽しませる。最近(主宰者も含め)日本人小粒な人が増えてこれだけ豪快に夢を追える人も減った気がするが、上述の通り「男は夢を食っていきる生き物」であるから、是非悠太郎君を見習いたいものである。

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Posted: 土 - 9月 3, 2005 at 06:39 午後