二宮ひかる『打ち上げ花火』First Impression


本当に久しぶりに二宮ひかる先生の作品を読んだ気になりました。

長らく執筆活動を休止していた二宮ひかる先生が少年画報社 Young King OURs+ で短編『とうきび畑でつかまえて』『はかないいちにち』、集中連載『おもいで』と立て続けに作品を発表、執筆活動を再開した事は本サイトでも既に取り上げたし、多くの読者にとっては周知の事実だと思う。ここに来て少年画報社 Young King OURs 本誌でも今回取り上げる短編『打ち上げ花火』が発表された訳だが、段々と感覚が戻ってきたのか、今回の『打ち上げ花火』はとても良い意味で二宮ひかる先生らしい作品に仕上がっている。嫁さんも上記4作品を通読して一言

「やっぱりこれが二宮先生だよね」

と言う感想で、この点主宰者も同感である。これまたトラブル続きで掲載が遅れた事をお詫びしたい。二宮ひかる先生の最新作『打ち上げ花火』のレビューをお送りする。

「来ちゃった♡」

と言う一言。と共ににライターを職業とするヒロイン ミツコ の所へやって来たのはミツコが帰省の際に一緒に飲んで関係を持った、(恐らくは)高校中退の主人公心太郎であった。二宮ひかる先生の代表作『ハネムーンサラダ』でやって来たのはヒロインの一人遥子だった訳だが、この辺は受け狙いかも知れない。〆切り間際でワープロに食らいつき、食事を作る気力もない ミツコ に心太郎は(家族から勝負どころは「料理とえっち」と言われていたからか)甲斐甲斐しく ミツコ の食事を作り、洗い物を片づけ、しかも就職先まで見つけて朝になると出勤していくのだった。勿論就職してお金をもらうのは大変な事で様々な苦難が心太郎を待ち受けているし、ミツコ からもあれこれ言われるのだが心太郎はめげない。仕事をこなしすぎてノルマが増える事を恐れた先輩から薬液の中に突き落とされても、である。

「どんな職にも居心地のいい職場ってのがあっていいと思うのよ!」

と恐らく転職を薦める ミツコ の言葉からは二宮ひかる先生がその代表作の一つ『ナイーヴ』最終巻の後書きで書いていた作品への思い入れを思い出させる。

「いくら甘いと言われても!!女にとって男が愛すべき存在であってほしい!!」

この二宮ひかる先生自身の台詞の吹き出しの中に「いや…いろんな組み合わせはアリですが」とあるのだが、まさしくこのヒロインの ミツコ の台詞がそのひとつなのではないかと主宰者は思っている。個人的には何度も書いた事だが『ハネムーンサラダ』は非常に人気のあった作品ではあるが、後に主人公の中学時代を描いた『ベイビーリーフ』を出版社を代えてまで描いた二宮ひかる先生の多分ささくれ立った心が落ち着きを取り戻したのではないかと主宰者は考えている。そして心太郎が ミツコ と一万発やりたいと最後に告げると笑顔のヒロインと共に書かれた吹き出しの無い台詞が、かつて主宰者を魅了し続けた二宮ひかる先生独特の読後感を感じさせ、二宮ひかる先生のモチベーションの持ち直しが本物である事を感じさせる。

「花火大会みたいだねえ」

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二宮ひかる先生の『打ち上げ花火』は少年画報社 Young King OURs '06年9月号に掲載された短編作品です。興味の有る方は書店もしくは出版元である少年画報社にお問い合わせ下さい。

Posted: 月 - 8月 21, 2006 at 05:33 午後