田中ユタカ『愛人[AI-REN]』第19話
あいは少女を、イクルは少年を卒業しようとしていると言う事でしょうか。
主催者が異性を意識したのは強烈に遅い。明確にいつごろとは書かないが、中学時代は意識していなかったのはほぼ間違いない。原因は恐らく衰退期の吹奏楽部に居た事だと思う。吹奏楽部では男性でも女性でも同じ楽器を持ち、同じ譜面を演奏する。いわば戦力である。しかしレギュラーの女性部員は部活に来ても人生ゲームなどの遊びに興じ、練習に打ち込んでいた人は極一部だったと思う。主催者は(お世辞にも上手いとは言えなかったけれど)上手くなりたいと思って練習していたので、そういった女性の一団(必ずグループでいる所が今もって不思議(^^;)のおかげで曲の完成度が上がらない事に腹を立てていたので
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」
式にあの頃は女性がひと括りで嫌いだったのを覚えている。田中ユタカ先生の『愛人[AI-REN]』第19話のレビューをお送りする。
「ボクはいま…、あいに何をしようとしてたんだ…?」
この瞬間、イクルはあいを異性として強烈に意識したのだと思うのだが、イクル自身その事に戸惑っているから、そうした感情は初めてだったのかも知れない(勿論淡い感情としてはこれまでもあったのだと思うけれど)。一方のあいはそうしたイクルの気持ちを知ってか知らずか家事に精を出すのだが、その姿、そして恐らく立ち居振る舞い等も女性らしいものになっていたのだと思う。あいはそんなイクルにちょっとしたいたずらをしかけ、戸惑う感情を話すイクルにあい自身もイクルを異性として意識しているらしい発言をするのだが、こうした会話は二人が二人だけの家に住み、そしてどん底の状態から二人で立ち直ったからこそ話せる内容なのではないかと思う。
「イクル♡、かわいい♡」
二人の人生は残り少ない。それだけに感情の表現はストレートで、いっそすがすがしさを感じる。第19話は二人のこうしたじゃれあいが描かれた短辺風のエピソードだが、こうした幸福感に彩られたエピソードが随所にちりばめられているからこそ、「生と死」「生きるという事がどういう事か」と言う重たいテーマを扱いながらも『愛人[AI-REN]』が多くの読者に受け入れられた所以ではないかと思っているのだが、皆さんはどう思われるだろうか。
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田中ユタカ『愛人[AI-REN]』(3)白泉社ジェッツコミックスコミックス『愛人[AI-REN]』の書影は白泉社様のご厚意で掲載させて頂いています。
Posted: 木 - 11月 2, 2006 at 09:21 午後