二宮ひかる『おもいで』最終話


これも幸せの形…ですか。

一度音信不通になってしまった知り合いと会うのは難しい。主催者は母が亡くなった年に後始末のあまりの忙しさに年賀状が出せず、何人もの友人の行方が分からなくなってしまった。中には本当に仲の良い友人もおり、いちるの望みを託して実家に問い合わせたら、実家も引っ越していた例も有る。そうなるともうお手上げである。人間もう会えないと分かると無性に会いたくなるもので、それが二宮ひかる先生が書く所の

「おもいでに縛られることの幸せ」

なのかは疑問だが、その友人と笑いあった記憶が大切な思い出である事には違いない。二宮ひかる先生の『おもいで』最終話のレビューをお送りする。

「今のわたしはたったひとつの願いのために生きています」

心臓の発作を起こし、行方も分からず転向してしまった少年を追いかけることを理緒はやめなかった。(彼が病気であり続け、なおかつ病気が悪化して死んでいない事が大前提なのだが)理緒は再会を信じて看護婦への道を選ぶ。神様のいたずらか(理緒が)夢にまで見た再会を果たした二人だが、心臓の手術を受けた彼は理緒には会いたくなかったという。しかしそれは彼の力が手術の成功と共に失われた事への引け目であり、彼は理緒に会う為に理緒の住む街に近い大学を受け、病院を代わっての再会だった。手術の後を見せてくれた彼の無に頬を寄せる理緒は思う。

「いつか今日の気持ちを、ずっと後に思い出すとき、私はどう感じるでしょうか」

主催者が嫁さんと大学時代に別れて再会するまでの十年間、理緒が作中で書いている事と主催者は同じことを考えていた。

「一生… おそらく恋愛も結婚もしないだろう」

主催者も神様のいたずらか、結局会ってしまって今に至るのだが、理緒ほど前向きに考えることも出来ず、結局は運命に流されての結婚ではあったが、別れている最中に読んだ『家裁の人』と言うコミックスの中で

「心の中の罪を罰することは出来ません」

と言う言葉が有り、そーかー、別に思い続けることは罪じゃないんだあと開き直っていた所もあった。同じかどうかは兎も角再会を果たし、関係もめでたく修復した理緒は彼にささやく。

「『お兄ちゃんって…呼んでみていいかな?」

尚、 二宮ひかる先生は次号の Young KING OURs+ で読み切りを掲載予定とのこと。お買い逃しのございませんよう<(_ _)>。

Previous | Next

Posted: 火 - 11月 21, 2006 at 09:45 午前