高橋しん『好きになるひと』
高橋しん先生ぐらいでしょうねえ、初期作品集を全て描き直したって人は…。
この高橋しん先生の『好きになるひと』は先生の代表作『いいひと。』の連載終了後に出版された先生の初期作品集なのだが、全ての作品が全面的に書き直されている。つまり、『いいひと。』以降の絵柄、そして実力で描き直されているのである。高橋しん先生の作品はデビュー作とまでは言わないけれど結構最初の方から読んでいたので、そのあまりのかわりっぷりに驚くと共に、「そうか、こう言うアプローチもありか」と感心した一冊である。
初期作品と言うだけあって作品のネタは初々しいものやとても身近なもの、そして高橋先生が青春時代に経験したか見聞きしたネタかな、と想像されるものが多く、その肩ひじ張らない作風がとても共感できる仕上がりになっている。そして特筆すべきは『いいひと。』のドラマがあんな事になった(原作のファンでご覧になった方は解ると思う。運営者は第一回を観ただけで見るのを止めてしまった)にも関わらず、ちっともいじけた所のない、高橋しん先生の原点に立ち返ったような作品群なのである。もしかしたら高橋しん先生自身、もう一度自分の漫画家としての原点に立ち返る為にあえて初期作品を描き直したのではなかろうか、とも思われる。
『好きになるひと』に掲載されているのは表題作の他に『世界で一番近い島』『TWO
HEARTS』『ANCHOR』『歩いて行こう』の計5作品。もうどの作品もお勧めなのだが、個人的には小心者のランナーが駅伝のアンカーに選ばれて、しかもトップでたすきを受け取る羽目になる『ANCHOR』と、好きな女性との結婚の為に故障を抱えた足を押してフルマラソンに挑む実業団選手とその恋人を描いた『歩いて行こう』が特にお勧めである。
現在高橋しん先生は体調を崩され、制作活動を無期休止しているのだが、新スタッフなども着々と採用されているようだし、暫くはでないだろうと思っていた最新作『きみのカケラ』の第二巻も出るようなので(詳細は高橋しん先生の事務所
SHIN Presents 公式
ホームページを参照)、先生の活動再開もそう遠くないだろうと期待している。先生の復活を刮目して待ちたい。
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Posted: 金 - 12月
5, 2003 at 04:53 午後