榎本ナリコ『センチメントの季節』をレビューするに当たって


難しい作品です。気を引き締めてレビューしなければ…。

前に榎本ナリコ先生の『ホームドラマ』をレビューした時に当サイトの常連であるべっちさんから「『センチメントの季節』の方が好きですね」と言う発言が BBS 上であり、「掘り返せば何処かにある筈ですからレビューしましょうか」と安請け合いしたのだが、いま猛烈に後悔している。
それは『センチメントの季節』が作品的に悪いと言う訳ではない。その扱っているテーマが難しいのである。本サイトはコミックスのフラッグシップとして二宮ひかる先生を取り上げている。これも多少の勇気が必要だった。読者層が高いとはいえ女性の裸が頻繁に登場するからだ。当然イメージ画も見ての通りで初めてこのサイトを見た友人に「エロサイトかと思った」と言われたほどだった。それでも二宮ひかる先生の作品が扱うテーマは「恋愛」であり、その演出上女性の裸が必要だから出てくる、と言うのが正しい。
しかし榎本ナリコ先生の作品は明らかに思春期の「性」をテーマに、しかも真っ正面から取り組んだ問題作だ。最近ではなりを潜めたが、女性の裸が出てくるだけで「ふしだらだ」「不道徳だ」「非常識だ」と言う方はまだまだ多いだろう。しかもその精神面を含めた「性」を扱うとなると大変である。取り上げる事自体が公序良俗に反する、と言う方が現れても全く不思議ではない。そして推薦者であるべっちさんから「Real Time Review が荒らしにあって止まったままになっている」と言う情報をもらった時にはさらに慎重になった。結局のところサイトの運営者の方が問題を起こした(かも知れない)事を BBS 上で攻撃され、その対処方法を間違えた、と言う事らしいのだが、べっちさんからお話をもらった当時は Comment System は一度書き込まれると消す事が出来ず、荒らしに対処できない状態だったからなおさらだった。今回 TrackBack System と Comment System は名誉会員の Pirosy さんの協力を得て移植に成功、晴れて主催者のコントロール下に置かれてある程度の荒らし対策を講じる事が出来る見通しが立ったためにレビューに踏み切る事にした。
しかし久しぶりにこの本を手に取ってみると、今度はそのレビューの難しさに頭を抱える事になった。榎本ナリコ先生の『センチメントの季節』は思春期の感情の一瞬の動きをまるで写真で切り取ったような短編の集まりで、一冊ずつのレビューでは考察しきれない。やるなら一話ずつやらないと榎本ナリコ先生のメッセージが伝わってこないような気がするのだ。そこで時間と労力がかかる事、一部の方には大いに問題視される事を承知で一話ずつのレビューをする事にした。この作品を取り上げる事自体が公序良俗に反すると感じる方がいるとしたら、この作品を手に取り、一話一話噛みしめるように読んで頂きたい。そこにいるのは「今どきの高校生」でもなく「不良少女」でもなく、誰もが一度は通ってきた思春期のワンシーンだと言う事に気づかれる事と思う。それが不快に感じるのは、その感情が自分の中でかつてリアルな物だったからに他ならない。男性の主催者が女性の視点から「性」を取り扱った作品でどこまで榎本ナリコ先生のメッセージに迫れるか、はなはだ疑問だが、暫くお付き合い戴ければと思う。

No previous | Next

Amazon.co.jp からの書籍のご購入は下記 Link からどうぞ !!



榎本ナリコ『センチメントの季節』Big Spirits Comics Special

上記の Comics 書影は Amazon.co.jp アソシエイトプログラムの許諾の下に掲載しています。

Posted: 金 - 2月 20, 2004 at 01:12 午前