村枝賢一『ジングルベル・アーミー』('04.12.23 掲載)
今回クリスマス特集として取り上げる村枝賢一先生の『ジングルベル・アーミー』は昨年(2003年)の講談社のアッパーズで連載中だった大作『RED』を一回お休みして掲載した読み切り作品である。 子供の頃に所謂サンタクロースを皆さんはいつごろまで信じていただろう。クリスマスイブの夜、明日は枕元に置いてあるだろうプレゼントに胸を躍らせながら眠りについた覚えがある方も少なくないと思う。もっとも、そのサンタクロースは結局のところ自分の両親な訳だが、そのサンタクロースになってくれる両親のいない子供たちも世界には大勢いるのである。 物語はこんな風に始まる。内線の続く東欧のある国にある国連平和維持軍の基地、クリスマス・イブの日にでっかいサンタクロースを描いた何ともけったいな(失礼!)ディスプレイを施したヘリコプターがやって来る。国連の親善大使が難民キャンプの子供たちにクリスマスプレゼントを送るためである。しかしこの地に赴任して長い主人公のゴードンはそんな国連の取ってつけたような(少なくとも彼はそう感じている)行為が許せない。この国の内戦に何年も付きあった彼には聖人面をしているお偉方の思いつきのようなこの行為が許せなかったのだ。ところがヘリコプターに乗ってきたのはこの国出身の13歳の少女、アデリナだった。彼女はゲリラの襲撃を受けた戦地でサンタの帽子をかぶった兵士(多分これは主人公のゴードン自身(^^;)に助けられてアメリカに渡り、親を亡くし、サンタクロースになってくれる人が居ない子供たちの為に自らがサンタクロースになるために努力に努力を重ねて親善大使となり、クリスマスプレゼントを満載したへりでこの地にやって来たのだ。ヘリコプターは無茶なデコレーションの為にテールロータが壊れ、ゴードンと相棒のベイカーが彼女を軍用車で難民キャンプに送り届ける事になるのだが、そうなるとゲリラが黙ってはいない。しかしヒロインのアデリナはゲリラに向かって叫ぶのだ「Merry Christmas !!」 この話はフィクションだ。クリスマスだからプレゼントを運ぶと力説し、ゲリラを説得したヒロインの少女アデリナは勿論架空の人物だが、彼女と同じ様に世界各地の紛争地帯で尽力している無名のボランティア達が山の様に居るのだ。そうした人たちに心から喝采を送ると共に「戦地に勝手に行くのは自己責任」とその救出に難色を示し、明らかに的外れな国際貢献しか考えていない某首相に是非この作品を読んでもらいたいと思う主催者であった。
村枝賢一先生の『ジングルベル・アーミー』は講談社ヤングマガジン・アッパーズ2004年1月6日号に掲載された読み切り作品です。現在コミックスに収録されたと言う情報は掴んでおりませんので、興味のある方は古本屋等で上記アッパーズをお探し下さる様、お願いいたします。
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